25.成人柱変形に対する 2 期的矯正固定術 長崎大学整形外科 横田 和明(よこた かずあき)、相良 学、山田 周太、津田 圭一、田上 敦士、尾﨑 誠 【はじめに】成人脊柱変形では、侵襲や患者状態を考慮し 2 期的手術を行うことも多い。我々は大きな変形矯正を要する症例において、初回手術で前方手術に加え、後方のスクリュー挿入ならびに一時的なロッド設置を行い、後日二期的後方手術を行う方法を採用している。本法を行なった3例について報告する。 【症例】平均 62.3 歳、男性 1 例、女性 2 例。全症例で、初回手術時に前方固定に加え、後方スクリュー挿入と一時的なロッド設置を行い、後日、二期的後方手術を行った。 【考察】本法では、初回手術後にアライメント評価のみならず挿入したスクリューの評価が可能となり、より正確な変形矯正手術が可能であると考えられた。また、一時的なロッド固定を行うことで、手術間のケージの沈み込みによる矯正損失が予防できるのではないかと考えられた。 【結語】大きな矯正固定を要する症例、骨粗鬆症を伴う変形矯正手術において有効な方法である可能性が考えられた。 |
26.成人脊柱変形に対し二期的前方・後方矯正固定術を施行した 3 例 ヒロシマ平松病院1 JA 広島総合病院 整形外科 脊椎・脊髄センター2 メディカルスキャニング東京3 平松 武(ひらまつ たけし)1、平松 廣夫1、山田 清貴2、宇治郷 諭2、藤本 吉範2、鈴木 信正3 【目的】腰背部痛を呈する成人脊柱変形に対し,二期的前方・後方矯正固定術を施行した 3 例を報告する。 【症例】症例は腰椎変性側弯症 2 例,Sheuermann 病による後弯変形 1 例である。症例 1:61 歳女性, VAS 75/100mm の腰痛と T12-L3Cobb 角 40 度の側弯,LL -12 度の後弯を認めた。症例2:61歳女性,VAS 79/100mmの腰痛とL1-4 Cobb角 52 度の側弯,LL -10 度の後弯を認めた。症例 3:28 歳女性, VAS 70/100mm の腰痛と T12-L3 椎体の楔状化による 64 度の後弯を認めた。 【方法】手術手技は,初回手術は後方進入にて Ponteosteotomy を施行後に,前方進入で椎体間固定術を行い。二期的に後方から矯正固定術を行なった。 【結果】腰痛は全例改善した。症例 1 は Cobb 角 9 度,LL24 度に,症例 2 は Cobb 角 27 度, LL 26 度に矯正され,症例 3 の胸腰椎後弯角は前弯3度に矯正された。 【結論】二期的前方・後方矯正固定術は,rigid な後側弯変形の矯正に有用な術式と考えられた。 |
27.成人変性腰椎後側弯症に対する矯正固定術~術前仰臥位 CT を用いた術前計画~ 徳島県鳴門病院 整形外科 千川 隆志(ちかわ たかし)、高松 信敏、平野 哲也、和田 一馬、横尾 由紀、眞鍋 裕昭、日比野 直仁、邉見 達彦 【目的】本研究の目的は、成人変性腰椎後側弯症(Adultdegenerative lumbar kyphoscoliosis (DLKS))の術前計画において至適腰椎前弯角を決定する際に、術前仰臥位 CT の有用性を検討することである。 【方法】DLKS 16 例(全例女性)、平均年齢 76.3 歳を対象とした。術前後の全脊柱立位側面像において pelvic incidence(PI)、lumbar lordosis(LL)、sagittal vertex axis(SVA)、術前仰臥位 CT での LL(CTLL)を計測した。Flexible な DLKS 症例の術後 PI-LL=15 度を目 標に、術前仰臥位 CTLL から矯正角を算出し、矯正固定術を行った。 【結果】16 症例の術前 PI-LL=平均 43.9°、術後 PI-LL=平 均 15.8 ° 、 術 前 立 位 LL=5.7 ° 、 術 後 立 位LL=34.1°、術前 CTLL=25.4°、術後 CTLL=37.3°、術前 SVA 125.6mm、術後 SVA 38.1mm であった。 【考察】術前仰臥位 CT を用いて DLKS が Flexible な後弯変形であることを鑑別し、変形矯正術後 PI-LL が平均 15.5°となり矢状面バランスを改善させた。術前仰臥位 CT は Flexible の評価と指摘 LL を算出する上で有用であった。 |
28.成人脊柱変形に対する側方進入腰椎椎体間固定術の骨癒合成績 香川県立中央病院 整形外科 廣瀬 友彦(ひろせ ともひこ)、生熊 久敬 【はじめに】成人脊柱変形に対する矯正手術では側方進入腰椎椎体間固定術(以下 LLIF)はその低侵襲性と安定性や矯正力のため変形矯正においても有用な手技である。我々は成人脊柱変形における LLIF の骨癒合について調査した。 【対象】2016 年 9 月から 2019 年 9 月までに当院で手術を行い、12 ヵ月以上経過観察を行った 10 例(男性 5例、女性 5 例)、31 椎間(L1/2:4, L2/3:10, L3/4:9,L4/5:8)を対象とした。平均年齢 70.3 歳、固定椎間数は平均 8.8 椎間であった。手術方法は二期的手術、移植骨は大腿骨頭由来の同種骨を用いた。骨癒合判定は CT を用いてケージ内の移植骨、椎体間架橋、椎間関節を評価した。 【結果】術後 12 ヵ月でケージ内 16 椎間(51.6%)、椎体間架橋 21 椎間(67.7%)、椎間関節 20 椎間(64.5%)の骨癒合が得られ、術前に椎体骨棘のある椎間では有意にケージ外の癒合を認めていた。 【考察】術後 12ヵ月での骨癒合はケージ内癒合が得られたものは半数程度であったが、ケージ外や椎間関節も含めると90%以上で癒合が得られた。術前に椎体骨棘賀ある椎間では椎体間架橋が得られやすかった。 |
29.当院における成人脊柱変形の治療成績~PJKの発生率と関連因子の考察~ 産業医科大学 整形外科 邑本 哲平(むらもと てっぺい)、中村 英一郎、山根 宏敏、吉田 周平、山田 晋司、酒井 昭典 高齢化と器械発展に伴い成人脊柱変形(以下 ASD) の手術適応は広がってきた。当院で ASD に対し矯正 固定術を施行した症例の術後 1 年成績を報告する。 【対象】2017 年から 2019 年に当院で DLKS type 2 の ASDに対して経大腰筋側方椎体間固定術(XLIF)+ 後方矯正固定術を施行した 9 症例。全例女性で、平均年齢 69.8 歳。 【結果】全例疼痛 VAS、JOA score の改善を認めた。 PJK は 6 症例 67%に発生した。PJK 例は ADL 障害 をきたすほどの症状は認めなかった。発生群(P)と非 発生群(N)にわけて SVA、LL、PI-LL、TK の術前(X)、 術直後(0)、6 ヶ月目(6M)、12 ヶ月目(12M)を計測し 経時変化を比較した。SVA は P 群(X)178→(0)14.5 →(6M)10.9→(12M)30.1、N 群(X)178→(0)45.2→ (6M)36.8→(12M)15.0。術前 LL の平均は P 群-1.8 度、N 群 7.5 度、術後 LL の平均は P 群 40.5 度、N 群 43.2 度、術後の PI-LL は両群とも<10 度であっ た 。TK は P 群(X)26.9→(0)33.9→(6M)51.7→ (12M)55.7 、N 群 (X)5.6 → (0)19.9 → (6M)21.0 → (12M)21.1 であった。 【考察】術前 LL: PN より術前の脊柱後弯化が PJK 発生因子であると考えた。また、術前仰臥位 CT での TK をみると P 群 14.6>N 群 8.4 であり後屈制限を有する胸椎後弯も PJK 発生因子と 考えられた。 |
30.Lateral single position surgery を応用した腰椎変性側彎症の 1 例 香川県立中央病院 整形外科 生熊 久敬(いくま ひさのり)、廣瀬 友彦 腰椎変性側彎症に対する変形矯正手術は一般的な手術となってきたが、その手術侵襲は今でも問題である。特に、 腰椎頂椎部が骨架橋や骨癒合によりrigid な症例では骨切りのため多数回の体位変換を要し手術侵襲は大きくなりがちである。そこで、 我々は single position surgery を応用し側臥位のままで前方と後方の骨切りを行い術中体位変換の回数を減らす工夫を行なった 1 例を経験したので報告する。 症 例は 71 歳の女性、腰椎変性側弯による体幹バランス不良による腰痛、歩行障害、右下肢痛が主訴であった、各種パラメーターは、Cobb 45°(L1-L5), SVA95mm, PI 57°, PT 38°, LL 29°あった。頂椎部にあたる L2-4 に前方の骨架橋と後方椎間関節の骨癒合を認めた。手術は 2 期的手術を予定した。1 期目は側臥位のまま前方と後方の骨癒合部を切離しL2/3/4/5 の XLIF を行い、2 期目に腹臥位で後方から T10-骨盤までの矯正固定を行なった。術後パラメータは Cobb 7°(L1-L5), SVA30mm, PT 28°, LL53°に改善した。通常であれば癒合部切離のため APA や PAP など 2 回の体位変換を要するが 1 回の術中体位変換で済ますことができた。 |
31.Evaluation of the loosening of SAI screws for posterior fixation of adult spine deformity between dual-SAI and single-SAI procedure 岡山労災病院 整形外科 山内 太郎(やまうち たろう)、藤原 吉宏、魚谷 弘二、田中 雅人 【目的】当院では成人脊柱変形(ASD)に対して2期的手術を行っている。後方では骨盤アンカーとしてsingle SAI を使用してきたがゆるみを生じる症例を経験したため dual SAI を用いた固定を行うようにしている。今回 SAI のゆるみについて両群で比較検討した。 【対象と方法】当院で 2017 年 6 月から 2020 年 3 月まで手術を行った ASD のうち、最低 6 ヶ月の術後経過観察を行えた 43 例を対象とした。これらの症例に対して矢状面及び冠状面パラメーターおよび最終観察時での SAI のゆるみ、PJK、近位固定端でのスクリューのゆるみ、rod 折損、再手術および最終観察時のJOABPEQ、ODIについてsingle SAI(S)群とdual SAI(D)群に分けて検討した。 【結果】S 群 19 例、D 群 24 例であった。脊椎パラメーターは SVA のみで S 群のほうが D 群より小さかった。SAI のゆるみは S 群で 14 本(37%)、D 群 1例(12%)と D 群で有意に少なかった。PJK(32%対54%)、近位固定端のスクリューのゆるみ(47%対46%)、rod 折損(11%対 0%)、再手術(21%対 21%)で有意差は認めなかった。最終観察時の JOABPEQおよび ODI も両群で有意差を認めなかった。 【考察】ASD は高齢女性が多く long fusion では SAIでも固定性に限界があると思われる。本検討では両群で合併症や JOABPEQ、ODI に有意な差はなく、dual SAI スクリューは single SAI スクリューに比べゆるみが少ない点で優れていた。本検討は観察期間が短いため、今後も注意深く評価を継続していきたい。 |
32.特発性側彎症遺残変形の高齢者に対する手術加療の検討 大分整形外科病院 井口 洋平(いぐち ようへい)、大田 秀樹、松本 佳之、巽 政人、田原 健一、柴田 達也 【はじめに】特発性側彎症は成人期以降も側弯が進行するため若年期の手術が推奨されている。非手術例が高齢者になると、側弯の進行と脊椎可撓性の低下に加え、下部腰椎に脊椎症変化が加わり、姿勢異常、疼痛、神経症状により手術適応となる。 【目的】特発性側弯症遺残変形の高齢者における矯正手術について、当院での手術経験から治療方法を検討すること。 【対象】若年期に側弯症を指摘された既往があり、特発性側弯症の遺残と思われる回旋とを伴う構築性カーブが存在し、姿勢異常、疼痛、神経症状のため手術加療を施行した9症例。 【方法】胸椎カーブの矯正に重点をおいた結果 coronalbalance が悪化し再手術を要した症例、変性を合併した腰椎カーブの矯正が過度で構築性胸椎カーブのため coronal balance が悪化した症例を経験し、以降の7症例では、胸椎カーブの術後残存を意識し、腰椎の矯正を適度にすることで立位バランスを良好に整えた。7症例の術前後のグローバルアライメント等を評価した。 【まとめ】特発性側彎症遺残変形は矯正困難な胸椎構築性カーブが残存するため、矯正固定術は選択的 TLIF で対応可能な場合が多い。 |
33.外傷性脊柱変形に対する椎体骨切り術に関する検討 総合せき損センター 整形外科 久保田 健介(くぼた けんすけ)、前田 健、大迫 浩平、伊藤田 慶、横田 和也、林 哲生、森下 雄一郎、益田 宗彰、坂井 宏旭、河野 修 近年、脊柱変形手術の進歩に伴い、外傷性脊柱変形患者に対して骨切り術を含めた脊柱変形矯正固定術を行うことが多くなった。 今回我々は、2015 年以降当院で椎体骨切り術を行った外傷性脊柱変形患者 7 例の術後成績を検討した。対象患者は全例女性、年齢は 70.3±1.2 歳、外傷から手術までの経過時間は 7.9±2.1 年、受傷起点は交通事故 1 例、転倒 5 例、転落 1 例で、骨折高位は T12:4 例、L1:2 例、L4:1 例であった。術式は 6 例に VCR、1 例に PSO を施行し、固定椎間数は 5.6±0.1 椎間あった。 術前、術後、最終フォロー時の全脊椎立位レントゲンで、C7-CSVL、SVA、TK LL、PT、局所後弯角の経時的変化を比較した。術後、PT と局所後弯角が統計学的に有意な改善が見られた。経過中に PJK が起こり、各パラメータは悪化が見られたが、統計学的に有意な差は認めなかった。また、臨床評価はJOABPEQ で評価を行ったところ、術後に改善が見られ、その後も維持されていた。 外傷性脊柱変形に対する椎体骨切り術では、アライメントは維持できない傾向にあるものの、ADL は高く満足度は得られていた。 |