24.PPS および open PS + sublaminar hook の併用固定術で治療した 75歳以上胸腰椎椎体骨折の短期成績 那覇市立病院 勢理客 久(せりきゃく ひさし)、比嘉 勝一郎、屋良 哲也 【はじめに】低侵襲目的に PPS のみで固定術を行った高齢者胸腰椎椎体骨折では、術後早期に骨折尾側椎のスクリュー逸脱を時に経験することがある。当院では骨折および尾側一椎を解放し、PS と sublaminar hook を設置し固定する方法で治療し始めたので短期成績を報告する。 【手術方法】骨折椎の頭側二椎から尾側一椎分の後方正中縦皮切を加え、骨折椎および尾側一椎は傍脊柱筋を剥離し椎弓を露出後、PS と sublaminar hook を設置。その後、頭側 2 椎分の皮下組織と筋膜を剥離後、経筋膜的に PPS を刺入。その後 in site でロッドと連結する。骨折椎および尾側椎椎弓を皮質骨剥きし、洗浄後、局所骨とともにグラフトンR を移植し閉創する。 【対象】後壁損傷を伴う 75歳以上胸腰椎椎体骨折で上記 手術法を施行した 4例で、年齢は平均 80歳(78 ~ 81歳)、女性 3例、男性 1例であった。手術時間、出血量、合併症、術後短期成績を検討した。 【結果】平均手術時間 106分(83 ~ 128分)、出血量 80g(10 ~ 200g)、合併症は特になし、全例腰痛改善し、術後 1 カ月現在、スクリュー逸脱なく杖歩行は安定しつつある。 |
25.85歳以上の高齢者に対する腰椎固定術の検討 長崎労災病院 整形外科 三溝 和貴(みつみぞ かずたか)、馬場 秀夫、奥平 毅、山口 貴之、中山 大資、佐保 明、小西 宏昭 2010年から 2018年までの 8年間で腰椎変性疾患に対して脊椎固定術をおこなった 85歳以上の症例 27例(男性 10例、女性 17例)について原疾患や術式、併存症や周術期合併症、再手術の有無について調査をおこなった。 手術時の平均年齢は 86.9歳(85 - 91 歳)で、 8例で腰椎手術の既往があった。原疾患は腰椎変性すべり症が 16例、腰椎椎間板ヘルニアが 5例、腰椎椎間孔狭窄が 5例(うち 3例が変性側弯を伴う)、変性側弯を伴う腰部脊柱管狭窄症が 1例であった。 術 式 は PLF が 13例、TLIF が 8例( う ち 6例 が MIS)、PLIF が 3例、LLIF が 3例であった。平均手術時間は 155.4分(100 - 355分)、平均出血量は 204g(10 - 550g)で、8例が術後に輸血をおこなっていた。 24例が内科的併存症を有し、8例が抗凝固薬を内服していた。術中合併症は硬膜損傷を 2例に、椎弓根骨折を 1例に認めた。1例が術後 2日目に狭心症発作を生じ、他院に転院し冠動脈バイパス術を受けた。平均術後フォローアップ期間は 3.1年(8 カ月―8 年)で、再手術をおこなった症例が 3例あった。 |
26.高齢者の脊柱変形手術における椎体骨切り術の工夫 大分整形外科病院 井口 洋平(いぐち ようへい)、 大田 秀樹、松本 佳之、巽 政人、 柴田 達也、真田 京一、竹光 義治、 木田 浩隆 高度で rigid な後弯を呈した成人脊柱変形の矯正には 3-column osteotomy が有用であるが、椎間板内での矯正(TLIF、LIF)と比較すると手術時間、出血、侵襲が大きくなり、高齢者に対する手術としては悩ましい。 当院では反張位 Xp で LL が十分に獲得できない rigid で高度な後弯変形に対し、PSO を応用した 3-column osteotomy を 2期に分けて施行しているので、手術の工夫と結果について報告する。 対象は、2018年 9月より 2019年 7月までの間、当院で 70歳以上の高齢者の脊柱変形に対し PSOを併用して変形矯正手術を施行した 4例 ( 全例女性、手術時平均年齢 74.2歳 )。 初回手術は腰椎から骨盤までの矯正固定を TLIF で施行した。 2期目手術は、固定上位端椎体を PSO で骨切りし、胸椎から矯正固定した。 手術時間、出血、術前後の PI-LL を評価した。術時間は 1回目平均 4時間 46分、2回目平均 4時間 45分。出血量は 1回目平均 375ml、2回目平均 467ml と十分許容される侵襲であった。PI-LL は術前平均 56.5°、術後平均 6.0°と良好な矯正であった手術時間、出血量の低減、術者疲労の低減、初回手術後に 2回目手術の目標矯正角度の把握が可能であり有用な方法である。 |
27.高齢者における抗血小板薬が腰椎手術に与える影響の検討 熊本大学病院 整形外科 中村 孝幸(なかむら たかゆき)、杉本 一樹、岡田 龍哉、谷脇 琢也、藤本 徹、宮本 健史 【目的】高齢化がすすむ我が国において心・血管系疾患のため抗血小板薬による治療を受けている患者は一定数存在する。今回、抗血小板薬が手術に与える影響について検討した。 【方法】2018年 10月から 2019年 7月まで当科で腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症に対し椎弓切除術および後方椎体間固定術を施行した 70歳以上の患者を対象とした。抗血小板剤(バイアスピリン、クロピドグレル)は中止せずに手術を行い、薬剤を内服していな患者群と比較検討を行った。抗血小板を服用していない患者と比較検討を行った。 【結果】薬剤なし群は 16名(平均 77.9歳)、薬剤あり群は 5名(平均 77.4歳)であった。両群間において、手術時間、出血量、術後 1 日での推定喪失血液量に有意差は認めなかった。合併症の術後血腫は両群とも発生していなかった。 【結論】抗血小板薬を休薬しなくても術中出血や術後血腫のリスクは増大しない可能性が示唆された。周術期における心・血管系合併症のリスクを下げる目的で、抗血小板薬を継続し腰椎手術を行うことは有用と考えられた。 |
28.当科における高齢腰椎椎間板ヘルニア手術例(80歳以上)の検討 JCHO 九州病院 整形外科 土屋 邦喜(つちや くによし) 【目的】80歳以上の腰椎椎間板ヘルニア手術症例の適応病態、術式、併発症の検討。 【対象および方法】手術時年齢80歳以上の計19例、年齢81ー97歳、平均84.6歳 男性13例、6例で男性が多かった。2例に固定術が施行された。ヘルニア摘出術を施行した17例のうち10例が内視鏡で施行されていた。再手術症例は6例で2例が固定術施行、4例に非固定の再除圧が施行された。 【結果】神経学的併発症は認めず全例翌日離床が可能であった。術前 JOA スコアは 12.9(1 ー20)点、術 後3か月で 22.9(14 ー29)点であった。 【考察】高齢者の腰椎疾患は脊柱管狭窄症が多く見られるが一定の割合でヘルニアも存在する。髄核組織は含水率が低いことが多く摘出自体は容易であるが神経周辺の癒着や骨化等には注意が必要である。全身予備能が低い高齢者においては可能な限りの小侵襲が望まれ内視鏡は良い適応である。今回のシリーズでは10例が内視鏡下で施行されており全員翌日離床を行った。早期リハビリは重要で自宅退院は6割(63%)で達成されていた。 |
29.高齢者(70 歳以上)の腰椎椎間板ヘルニアに対する手術治療の検討 兵庫医科大学 整形外科 山浦 鉄人(やまうら てつと)、楠山 一樹、圓尾 圭史、有住 文博、 木島 和也、橘 俊哉 手術加療を行った高齢者の腰椎椎間板ヘルニア (LDH) に対する手術治療を検討した。2016年 1月 から 2018年 12月までに当科で LDH に対し手術を行った連続 34例を診療録から後ろ向きに検討した。70歳以上の高齢群 (15例) と 70歳未満の壮年群 (29例 ) の 2群に分け比較した。検討項目は術式、固定術の適応理由である。高齢群は平均年齢 76.1(70-84) 歳、男性 7例女性 8例であり、壮年群は平均年齢 51.0 (16-69) 歳、男性 17例女性 12例であった。手術は高齢群では除圧術が 9例に固定術 ( 全例 TLIF) が 6例 (40.0%) に行われており、壮年群では除圧術が 17例に、固定術(全例 TLIF)が 12例 (41.3%) に行われており、固定率に有意差はなかった。固定術の適応理由は高齢群では外側ヘルニア 3例、L2/3 より高位のヘルニア 1例、すべり症が 1例、再発例が 1例であり、壮年群では外側ヘルニア 4例、L2/3 より高位のヘルニア 3例、すべり症か側弯が 4例、環状骨端離断が 1例であった。 |
30.腰椎椎間板ヘルニアに対する顕微鏡視下ヘルニア 後方摘出術 457 例に対する術後 10 年間の追加手術の検討 -単一施設における Data base study- 広島市立安佐市民病院 整形外科・顕微鏡脊椎脊髄センター 橋口 直史(はしぐち なおふみ)、藤原 靖、古高 慎司、大田 亮、 真鍋 英喜 【目的】今回我々は、当院の手術データベースを用いて、顕微鏡視下ヘルニア後方摘出術(Love 法)後10年間に施行した術後追加手術を検討したので報告する。 【方法】2002年1月~2007年12月に腰椎椎間板ヘルニアと診断し、 Love 法を施行した 556例のうち、脊椎手術歴のある 99例を除した 457例(男性 293例、女性 164例)を対象とした。対象症例が 2018年5月までに受けた脊椎追加手術を当院手術データベースにて調査した。 【結果】腰椎の追加手術を施行したのは 56例 ( 男性 41例、女性 15例 )12.2% であり、同部位 25例 5.5%、同椎間対側 8例 1.8% であった。追加手術数は 1回:43例 9.4%、2回:10例 2.2%、3回:3例 0.7% であった。 【考察】Love 法術後同部位再手術率は 4-14% と報告されており、本研究でも 5.5%と同等であった。この他にも同椎間対側や他椎間の追加手術を要する症例も 8.2%にあった。追加手術回数 1、2回群に比べ 3回群の期間は短く、複数回再発症例の治療は特に注意を要すると思われる。 Love 法は長期成績には依然として問題があることを認識する必要があると思われる。 |