11.腰椎固定術後の隣接椎間障害に対するRevisionの検討 友愛会病院 整形外科*1、兵庫医科大学 整形外科*2 加藤 寛(かとう ひろし)*1、橘 俊哉*2、圓尾 圭史*2、有住 文博2*、楠山 一樹*2、木島 和也*2、吉矢 晋一*2 腰椎推体間固定術後の隣接椎間障害のためRevisionとなった連続7例を後ろ向きに検討した。男性4例女性3例。平均年令69(23-83)才。経過観察期間は平均16.7(1-36)ヶ月。初回手術時の診断は腰椎椎間板ヘルニア2例、変性すべり症4例、分離すべり症1例であり、障害高位はL3/44例、L4/52例、L5/S1例であつた。隣接椎間障害の病態はヘルニア2例、中心性狭窄2例、椎間関節性腰痛が1例であつた。再手術までの期間は平均43(18-94)ヶ月。再手術方法は5例に1椎間TLIFが、1例に2椎間TLIFが行われた。2例は初回手術固定椎体のスクリューは抜去、5例は初回固定椎間もインストゥルメンテーションを維持し、うち3例はサイズアップしたスクリューを再刺入した。術後合併症はスクリューの緩みを伴う椎間関節嚢腫が1例、SSIが1例であった。6ヶ月以上観察できた5例全例で骨癒合が得られた。初回固定椎間の骨癒合が担保されない場合はインストウルメンテーションを維持している。 |
12.5年以上経過した腰椎変性疾患に対する後方instrumentation手術後の隣接椎間障害 ―後方椎体間固定術と制動術の比較 大分整形外科病院 大田 秀樹(おおた ひでき)、松本 佳之、井口 洋平、巽 政人、塩川 晃章、木田 浩隆、竹光 義治 不安定性を伴う腰椎変性疾患への後方instrumentation術後隣接椎間障害には絶えず悩まされる。発生率減少目的で制動術を13年前から併用しているが、今回は5年以上経過した症例の隣接椎間障害を調査した。術式選択として不安定性は同等でも椎間孔狭窄あればTLIF、なければ制動とした。制動には可動性を有するpedicle screwを用いた。対象はL4/5の単椎間例でTLIF群(T群)と制動群(S群)を比較検討した。再手術、他縫間除圧追加例は除外した。T群77例、S群56例であった。T群:男性40例、女性37例、年齢は平均65.8才。経過観察期間は6平均103.5か月。S群:男性34例、女性22例、年齢は平均63.4才。経過観察期間は平均86.9か月であった。T群の12例(15.6%)、S群の2例(3.6%)に再手術がなされていた。術後5年時ではT群の4例(8.5%)、S群の2例(4.1%)、10年時ではT群の8例(28.6%)に再手術がなされ、S群では再手術例は無かった。T群は経時的に隣接障害による再手術率増加していた。S群は経年的に不動化の傾向にあったが、ゆっくり固定されるため、TLIFより隣接椎間障害が少なかったものと思える。 |
13.脊柱後弯症手術における、上位隣接障害及び胸椎後弯の進行と、固定高位の工夫 大分整形外科病院 井口 洋平(いぐち ようへい)、 大田 秀樹、松本 佳之、巽 政人、塩川 晃章、竹光 義治、木田 浩隆 【はじめに】脊柱後弯症に対する後弯矯正手術は、骨盤を含む固定とLIFの応用により良好な腰椎前弯獲得と骨癒合が可能になってきた。しかし上位固定範囲、上位隣接障害、胸椎後弯の進行については議論の余地がある。当院で施行した脊柱後弯症手術について術後経過を調査し、上位隣接障害、胸椎後弯の進行、適切な固定範囲の選択方法を検討した。 【対象と方法】2013年2月から2017年3月の間、後弯矯正固定手術を施行した22例。全例女性、手術時平均年齢は72.0歳。術前、術直後、術後1年時の全脊椎立位側画像を比較し、隣接障害と胸椎後弯の変化を検討した。 |
14.多数回腰椎手術後の後弯変形治療 岡山大学病院 整形外科 瀧川 朋亨(たきがわ ともゆき)、上甲 良二、辻 寛謙、村岡 聡介、宇川 諒、塩崎 泰之、三澤 治夫、尾崎 敏文 【はじめに】成人脊柱変形の中でも医原性後弯は時に大きな矯正を必要とし、治療に難渋することがある。 【症例】73歳男性で主訴は腰痛であつた。アライメント不良のため、立位保持ができない状態であつた。過去にL2から骨盤までの固定手術を受けるも偽関節となり、インプラントは抜去されていた。中位胸椎からL3は癒合し、腰椎後弯(LL-16°、PT 39°、SS 6°、PI 45° 、SVA 208mm)を呈していた。L2からS1および腸骨にはscrew設置後の大きな骨孔を認めた。L4でPSOを行い、T10から骨盤までの後方固定を行った。大きな骨孔のある椎弓根は上位終板を貫くなどscrew挿入方向を変更し、骨盤には両側2本ずつのSAI screwを使用することで、比較的強回なアンカーとなった。術後LLは45° 、SVAは-27mmまで改善し、杖歩行可能となった。 【考察】Looseningの起こったscrew周囲の骨は硬化していることが多く、適切な術前計画とscrew再設置を行うことで十分な固定力を得られる可能性がある。 |
15.脊柱変形術後oblique take offに対しPSOを施行した2例 総合せき損センター 整形外科 高尾 恒彰(たかお つねあき)、前田 健、森 英治、弓削 至、河野 修、坂井 宏旭、益田 宗彰、森下 雄―郎、林 哲生、久保田 健介 後側弯症治療に対する手術的治療の目的はパランスのとれた生理的脊柱アライメントの獲得であり、矢状面バランスの改善が最も重要である。一方、冠状面では側弯cobb角ではなく、C7plumb lineを小さくすることが手術の目標である。脊柱変形術後oblique take offに対しPSOを施行した2例を報告する。 症例1。69歳、女性。H20年右傾斜の腰曲がり歩行(LLO° SVA:220mm C7-CSVL:Lt 25mm)に対し、H24年にT10-S1/腸骨後方矯正固定術(LL32° SVA:38mm C7-CSVL: Rt32mm)を受けたが、H28年頃よりPJKとともに、右傾斜が増悪した(LL30° SVA:114mm C7-CSVL: Rt52mm PJK23°)。H30年 T5-S1/腸骨後方矯正固定術、L4PSOを施行し、冠状面矢状面バランスは改善した(LL41° SVA:55mm C7-CSVL:Lt 1mm)。 症例2。49歳、女性。キアリ奇形、脊髄空洞症に伴う症候性側弯症。12歳時他院にてT3-L1後方固定術。H22年頃より側弯増悪し(C7-CSVL:左282mm、H23年6月T4-腸骨後方固定術。術後、変形は改善したがC7-CSVLが左153mrnと左傾斜が遺残していたためH29年T11―S1/腸骨後方矯正固定術、L4PSOを施行しC7-CSVLは左67mmに改善した。 両症例ともに術後oblique take offによる冠状面バランス不良は患者の愁訴となり得る。骨切り術の併用により再矯正可能であるが、初回手術において術中の注意深い冠状面パランスヘの配慮が必要である。 |